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本の虫  あれこれ
最終更新日 080407)



(単位 ミリメートル)
虫穴のトンネルが迷路になってページが開かない(紙は奉書)
でもなぜ綴じた固い方をよく食うのか。元々は硬い木材が専門
で、ある時本好きの先祖が現われ、移住してきたのか?この本
なら多分300匹以上住んでいるのでは・・・。以下は正体をご存
じない方のために雑学を・・・。
幼虫の数年間は本を食べて過ごす。 5〜6月に羽化すると2mm程
の黒胡麻に似た甲虫(こうちゅう)になるが、子孫を残して 一、二日
で死ぬ。羽化した成虫は音もなく飛んで窓ガラスや蛍光灯等の明る
い所に集まってくる。卵は余程小さいのか見つけた事がありません。
写真は生きている白い幼虫とそのフン、黒は成虫の死がい。
(動く成虫は歩き回って撮れない)
紙魚(シミ)を和本の虫だと思っている人は多い。よく動き回る銀色の虫は家庭の中でも馴染み
深いがウールや毛布だけで無く、 確かに上等な革表紙や天金などの糊気の多い本も好んで、
舐めるように喰う。


ところが、本当の和本の虫は違う。和紙、唐紙、桐箱だけでなくあらゆる物、ときには新聞やポ
リ袋までも貫通して食ってゆく。しかしこの虫にもよく見ると好き嫌いがあって、 たとえ
和紙でも
不味いものは避けて通る。 ただ、それが好物に押し付けられていれば隣のものも
タデ喰う虫、
の悪食となる。
 

まずい本を作れば虫は防げるが、今出来ることはうまい本を隔離してこの写真の虫を やっつけ
るしかない。その方法は地道な努力と的確な手段あるのみである。虫の季節に
人工羽化など
させて得たノウハウがもう少し煮詰まったら、・・・・この次には
「防虫考」などと称して御披露を、
・・・・乞う御期待のほど、お願い申し上げます。

取り敢えずと、お急ぎの方は「京古本や往来」81号( 京都古書研7/21発行)Editor’s
Eyeの欄 ”和本とむし”に、さる和本屋の話として駆除方法を少々お取上げ
いただきましたの
で、御参照ください。只今はごくごく地道で確実なやり方を
実行中です。方法は次回に御期待
ください。

表から本を舐めまわす紙魚 ・内部へただ一途に突き進む和本の虫 ・ なぜか愛書家の両極端
を象徴するかの如くに ・・・は、どうも考えすぎですか。私の最初の仕事が虫払い・・・、以後

涯で一番永い付合いとなった虫の和名が・・・・・『 死  番  虫 』・・・・・とは。英語に詳しい同業

の士(古書研Editor)から教わった翻訳名だけれど。何とも先行き暗〜い感じがしてくる。
      ・・・・・ただの名も無い 『本の虫』 の方がかわいくていいじゃないですか、ね。
 

                                                                    ( ’98年8月30日UP  T.H  )                     


   ○ 以上は昔に書いたものですが、次は簡単な防虫方法を書く予定です。  長々読んでいただき有難うございました。

 「 京古本や往来 」81号(京都古書研’98/7/21発行の新聞 】
  転載の予定で、上記を永らく探していたのですが、ようやく見つかりましたので どうぞご覧下さい。

古書研 Editor氏 のお許しを得て下に掲載しました。06/07/15





06/07/15 UP DATE




060720-更新 
フィルムケースで飼育したのは【私】ですが、環境を変えた いくつかのケースのうちで 江戸の古紙を食べ無事に羽化して成虫で死んでいった者たち がいました 電子レンジも試しました。虫は困りますが本も大切、命は一層大事なので、荒っぽっく試しただけで本格実施に至りません。 お試しには呉々も火事に気をつけて自己責任で・・・。
と言うのも、古書研 Editor氏が下のコメントに書いておられる通り、電子レンジは度が過ぎると火がつきます。 長時間では内部が乾燥した上に温度は発火点に昇っていると思われます。 それではどの様な発火なのかと、経験の一例を少々。 初めは炎も火も見えず、焦げあとに何となくチリチリと薄赤い輪が広がっていくので、 こ れは火が付いたなと、こすって消したつもりが又チリチリとした物が。  何度やっても絶対に消えない事に気付いた時は、勿体ないけれどその和本に水を掛けるしか方法がないと 諦めの覚悟をする時でした、以上。
どの様な火なのだろうかと、 一層興味を持たれた同世代の方には その昔、子どもの頃にご存知〔桐灰懐炉〕に使っていた 小さく細長い〔火種〕と言うのか 形ははっきり覚えていても呼び名すら忘れましたが、若い人向きの説明では桐灰(桐炭粉)の微細粒を薄い和紙筒に詰めて棒状に固めた、細くて短い丁度ウインナ状の桐灰カプセルで、その 糸で縛った端にマッチで火を点けてカイロにセット、炎も赤熱もなく、ただチリチリ、ジワジワと長時間消えない重宝な懐中暖房の火と・・似たものでした。
戦前からすでに普及していた〔白金カイロ〕はアルコールを白金の触媒で酸化させて・・・ともによく似た火なのですが。廻りくどくて伝え難いので、和本でお試し下さって水を掛けてお消しください。間違ってもそのままくずかごに捨てるようなことは、ゆめゆめ(努努)なされないと信じます。(・・お若い方に桐灰カイロと云うと、貼る物だと思われますか?)
肝心の【レンジの成果】にもチョット一言。・・本を開くと 死んだと思いきや白い幼虫がポロポロと動きながら出ました。 駄目でしたわ、と仏教書専門のEditor氏に報告したところ【 いずれ もだえ死に しますわ 】と引導を渡された虫たち。昇天を期待したのに【むし焼き】の地獄、むごい事でした。
【時間を調整すれば有効な手段だとは思いますが質量が異なるので個別に変化する設定が〔ぶっつけ本番〕では余り良い本には向かないようです】・・デンジ波も防虫剤も過ぎたるは本や人にも害有りとぞ、ただしこの一行は私の想像です。もし【 レンジでチン 】で良い結果を得られたお方は、是非ご指導を お願いします。
過去ばなしを思い出しながら書きましたが、今回も ながながと読んでいただき誠にありがとう御座いました。
* 次には、大量な虫喰い本を長期に一括駆除した過去の経験談を具体的にお知らせします。
   少しスペースが必要ですが ご期待下さい *




古書研 Editor氏のサイトから 補注 の一部を下に転写させて頂きました。 (追加 2006/7/18)

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